ゼロから学ぶ経済政策 日本を幸福にする経済政策のつくり方

政府が膨大な財政赤字を積み上げていくと日本経済は破滅するのか? 原油や農産物などの価格高騰によってインフレになるのか? TPPに参加することで日本の農業は壊滅するのか? 日本でデフレが続くのは人口が減少していくからだ。日本の経済成長率を上げるためには、先ずデフレを脱却するために思い切った金融緩和が必要だ。 いやいや、経済の低成長とデフレは関係ない、経済成長のためには非効率な企業は市場から退場させることが大事だ。


経済政策について毎日いろんな言説が新聞やテレビを飛び交っている。何が正しくて何がインチキなのか落ち着いて自分なりに考えて、評価の軸をもちたい人にお薦めの本です。経済政策の役割や柱について、体系立ててコンパクトにまとめてあるので、頭を整理するには最適です。もっと、突っ込んで考えてみたいかたには、同じ著者のこちらもお薦めです。

経済政策の3つの柱は、「成長政策」、「安定化政策」、「再分配政策」

ある経済政策が、この三つのどれにあてはまるのか考えてみるだけでも議論を整理することができると思います。

景気の安定と成長については、真っ向から対立する、ふたつの仮説があります。
そのうちの一つ目が、シュンペーターの考え方に基づく「ネオ・シュンペーテリアン解釈」です。シュンペーター流の解釈では、景気がよくなったり悪くなったりを繰り返す周期的な景気の循環が、長期的な経済成長を促進すると考えます。(中略)
 もう一つは、景気の善し悪しはなるべく均していったほうが、長期的な経済成長につながるという考え方です。これを仮にニューケインジアン流の解釈と呼びましょう。

景気の波があったほうが、非効率な企業をふるい落とすことができるので、経済成長率が高まるのか、それとも、景気の波は均したほうが、企業が安心して将来に向けた投資や人材育成に取り組めるので経済成長率は高まるのか。さてどちらが正しいのでしょうか。