ヨーロッパの100年 下

著者ヘールト・マックがが、様々な人にインタビューしながら、20世紀の100年間の歴史的な事件を振り返ります。個人の体験談によって100年前の出来事も、自分につながっていると感じることができます。2段組で上下巻合わせて、600ページを超える量ですが飽きませんでした。ヨーロッパの100年をざっと見渡せるいい本です。


下巻は、第2次世界大戦の終わりから、冷戦、ソ連、東欧圏の解体、1990年代のボスニア戦争までをあつかいます。

第二次世界大戦は少なくとも四千百万人のヨーロッパ人の命を奪った。千四百万人の軍人と二千七百万人の市民(うち六百万人はユダヤ人)だ。それは、六年間一日平均二万人の死者を出した惨事だ。ポーランドとバルト諸国では戦争の終わりに五人に一人の住民がなくなっていた。ソ連では人口減少数から死者数を推定することしか出来なかった。

戦争の世紀とも言われる20世紀。第一次世界大戦でも数千万人、政府による弾圧、粛清でも千万人単位の人が殺されています。争いの種は、「民族」、「宗教」、「政治信条」。


モスクワのポピュラー音楽の評論家は、1984年に撮られた結婚式の記念写真を1994年に見て、

写真には十数人の女性が写っていた。その半分が外国へ移住した。(中略)だが、なによりも特徴的なのは1984年以降は誰の人生もかつての規範どおりには運ばなかったということだ。全員が大きな断絶ー良い方向あるいは悪い方向ーを体験していた。そした、カメラのシャッターが切られたとき誰もそれを少しも予想していなかった。


100年は、長いけれど3世代前だと思えば、自分につながっているという感覚をもてる時間。日本の100年間も遡ってみたいと思う。

ヨーロッパの100年(下) 何が起き、何が起きなかったのか

ヨーロッパの100年(下) 何が起き、何が起きなかったのか