鈴木幸一の文明漂論

鈴木さんはインターネットイニシアティブIIJ)の社長さん。IIJは日本で最初にインターネット接続の商用サービスを開始した会社です。読書とお酒と散歩と音楽が大好きというところに惹かれて読み始める。朝の3時に起きて読書するとか、古本屋さんに行って腕がちぎれそうなくらい沢山の本を買って、その本を喫茶店で読むときが至福の時間というところに激しく共感。本社が神保町にあるのも社長の本好きが理由なのかと勘ぐってしまう。


ベトナム戦争の時代に良心的徴兵忌避者となった優秀な若者が全米からスタンフォード周辺に集まり、国防総省が彼らに資金援助して立ち上げた多くのプロジェクトがインターネットをつくり上げていく原点だったというのは初めて知った。自分たちがやっることに反対する若者に資金提供して研究させる国防総省は懐が深くて怖いところだと思う。また、インターネットが体制を根底から変えたいと若者の意思を担っていたというのは意外だった。


鈴木さんは北陸にも何度かいらっしゃっているようで、石川県生まれとしては、

北陸の秋の気候は変わりやすい。山中温泉から小松空港へ向かう途中、「日が照りながら雨の降る」アイルランドのように、たくさんの千切れた雲が流れ、雨が吹き付けるなか、雲間から陽射しが濡れた樹木に光る。大きな虹がかかる。鮮明な虹である。雨が吹きつける車の窓を開け、雨が顔に吹きつけるのもかまわず、大きな虹だと、大騒ぎをする。

というところを読んでにんまり。毎日雨ばっかりで鬱陶しい晩秋から冬の天気も、こんな風に書いてもらうと小じゃれた感じに聞こえる。


鈴木幸一の文明漂論

鈴木幸一の文明漂論