合同会社説明会

仕事で合同会社説明会に行ってきた。学生さんの受付と誘導のお手伝いだ。


女子学生は、身なりも話した感じも、平均してみんなきちっとしている。男子学生は触れ幅が大きい。スーツをびしっと着こなして就職活動に慣れた感じの人もいれば、一応スーツは着ているものの、髪がボサボサでちょっと大丈夫かと思う人や、簡単な受け答えも覚束ない人もいる。説明会が始まって2時間くらいたった頃、ロビーの隅で1人の男子学生がものすごく深いため息をついていたので声をかけてみた。


「出来るだけたくさんの会社の話、聞いていって下さいね。」
「人と話をするのが苦手で、企業の人に会って話しをしていると胃が痛くなるんです。」
「最初は大変だと思うけど、とにかく沢山回って話を聞けばそのうち慣れるよ。」


彼は三男でお兄さんは二人とも県外にで働いているので、県内で就職してご両親と一緒に暮らすつもりらしい。人と話すとが苦手といいつつ、これまでの就職活動のことや家族の事情などいろいろと話してくれた。ちょっと変わったところもあるけれど、真面目な感じが気に入ったので、私が知っている会社を教えてあげることにした。ブースにつれて行く前に一つだけアドバイスした。


「とりあえず企業のブースを訪問する時は、コート脱ごうよ。」


実は、ずっとコートを着たまま会場をウロウロしていたので、彼のことは最初から目についていたのだ。私の就職活動したときも人に会うのが億劫だったし、企業訪問のマナーも知らず、会話の受け答えもかなり怪しかったので、とても他人事とは思えなかった。いろいろと大変そうだけど、彼にはなんとか就職してほしいと思った。