禅と骨

ヘンリ・ミトワは、1918年にドイツ系アメリカ人と新橋の芸者の間に生まれる。日中戦争が始まると敵性外国人として特高につきまとわれるなど日本で暮らしにくくなる。アメリカの戻った父を追って1940年にロサンゼルスに渡る。しかし1941年に太平洋戦争が始まるとアメリカでも日系人として差別され、強制収容所に収監される。戦後アメリカで日本人と結婚し3人の子供を育てるが、日本にのこしてきた母親の死を契機に日本に戻りたいという思いがつのり、1961年に単身日本に帰国し、妻と娘を日本に呼び寄せる。本人は禅寺に出入りするとともに茶道や陶芸を学ぶ。そして天龍寺の僧侶となる。

 

この映画はこんなヘンリ・ミトワの一代記。禅の話はあまり関係ない。日本とアメリカの間に翻弄されるミトワ。家族は日本に帰国して好き勝手やっているミトワに振り回される。うんざりしながらも断ち切れない家族の関係。次女の静さんがミトワは最低の父親とののしりながらも、ミトワを看病するときの目がやさしい。

 

家族間のドロドロの愛憎渦巻く様子は、カラマーゾフの兄弟を読後感と同じような疲労感。へとへとになる。いろいろなことがあって一言では語りきれないけれど、見るべき映画。

映画『禅と骨 Zen and Bones』公式サイト