南方熊楠 100年早かった智の人

上野の国立科学博物館で開催中の南方熊楠展に行ってきた。

南方熊楠生誕150周年記念企画展「南方熊楠-100年早かった智の人-」(2017年12月19日(木) ~2018年3月4日(日))- 国立科学博物館

 

南方熊楠の存在は中学生の時に知り、アメリカ、イギリスを股にかけて研究を進め、ネイチャー誌にも論文が多数掲載されていることや、昭和天皇の皇太子時代に粘菌について直接講義をしたことがあることに惹かれて、わからないながらも東洋文庫で「燕石考」や「十二支考」を読んだことがある。

 

熊楠は1867年に和歌山県で生まれ。隠花植物の研究者であり自然史の研究者であり、「十二支考」など人文系での著作もある。今回の展示では、熊楠が収集した地衣類などの標本や菌類の図譜が展示されている。また、「十二支考 虎」を書くための論文の設計図(熊楠は腹稿と言っていた)も展示されていた。

 

熊楠は隠花植物の研究にあたり、膨大な標本を収集したように、人文系の分野でも文献から抜書きを作成し、論文執筆にあたっては、それを元に項目同士の相関図のようなものを作成していたのだ。ロンドン時代には大英博物館の図書室にこもり、膨大な量の文献の抜書きを行なっていたそうで、紙に細かい字でびっしり書き込まれている抜書きのサンプルも展示されていた。標本にしろ抜書きにしろ、徹底して集めまくる。狂気を感じるくらいの熱意だ。

 

 

ネットからコピーアンドペーストで情報収集するのと、手書きで紙に抜書きしてスケッチを描くのでは、頭に入ってくる強度が違うだろう。すると、出来上がってくる論文にも何らかの影響があるのだろうか。