経済と人類の1万年史から21世紀を考える。

やぶからぼうですが、「経済って成長し続けなきゃいけないものなの?」という疑問が、心の奥底にわだかまっている。私自身は1966年生まれで、日本の高度成長真っ只中。1973年のオイルショックで高度成長に区切りがついたものの、バブル崩壊まで成長は続く。そのため、年々暮らしというのは良くなっていくものだ、今は悪くてもいつか正常な成長カーブに戻るはずという感覚がどこかにある。

 

だから、財政政策でも、量的緩和でも、出来ることはなんでもやって、経済成長を実現すべきだと考えていた。経済成長が全てを解決する。そう思ってた。

 

しかし、どこまで生産を効率化して一人あたりの生産が増えたところで、相変わらず働き続けなければいけない。1940年代は日本の人口の半分が農業に従事しなければならないくらい食糧生産に人手がかかったが、今は人口の数%しか農業に従事していない。100年前は衣料品が貴重で、着物を質に入れるくらい価値があったが、贅沢言わなきゃ今は何でも安い。その頃は、食料と着るものを調達するだけで所得のかなりの部分を費やしていたのに、今は贅沢言わなきゃ何でも買える。100年前の食料や衣料品の生産量と現在の生産量を比較してみれば、週3日働いて、4日休み、そんな世の中になっていてもおかしくない。

 

てなことを考えていると歴史を振り返りたくなり、この本を手に取った。

 

著者が言うには、1万年を振り返ると、これだけ急激な経済成長と人口増加が続いたのは、ここ300年間にすぎない。人類史のほとんどの時間は、農業生産が増え豊かになったかと思うと、人口増加で食糧不足、飢饉、人口減。その繰り返し。イースター島や、アステカなど局所的には繁栄しすぎて、自然環境を破壊し滅亡に至った文明もたくさんある。今一番の問題は、地球環境と経済の折り合いをどのようにつけていくか。何をすべきかはわかっていても、そのままズルズルと滅亡への道を進んでいくのか。今回は局所的な問題ではなく、地球全体の話。失敗すれば取り返しがつかない。

経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える

経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える