新編 酒に呑まれた頭

吉田健一さんは、吉田茂のご子息で、英文学の翻訳をして小説も書かれて、エッセイも残していらっしゃします。


「酒に呑まれた頭」は、その名の通り酒と食べ物を中心としたエッセイ集です。汽車の旅に出かける時は、駅に着く前に一杯呑んで、汽車では、車内販売の売り子さんに、駅に停車する度に生ビールを買ってもらって呑んで、食堂車で呑んで宿に到着してまた呑んで、翌日も、汽車が出発するまで呑んで帰りの汽車の中でも呑んでと、うらやましいくらい楽しそうに呑む話がたくさん出てきます。


金沢に縁があるようで、この本の中でも「こんか鰯」で呑んだり、片山津温泉の矢田屋で小鳥の内臓の塩辛で呑む話がありました。


東京に比べて関西のほうが、いいお店が多いという話のなかでは、神戸の「ドンナロイヤ」というイタリア料理店が登場しています。震災前は、居留地の古いビルの地下にお店がありました。


私は、学生の時に妻と昼ご飯を食べに行ったことがあります。重々しいと雰囲気と読めないメニューに圧倒されて、しどろもどろになってしまったことを覚えています。


古きよき時代の雰囲気がいっぱいの本です。

新編 酒に呑まれた頭 (ちくま文庫)

新編 酒に呑まれた頭 (ちくま文庫)