進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線
脳関連で今まで読んだ本の中では一番お薦め。わかったような気にさせてくれる。
人の意識=言葉だという。もっともだ。意識している時は必ず言葉で思考を玩んでいる。著者は意識は言葉の奴隷ととまで言う。確かに言葉が存在しないものは意識できない。
意識の定義
- 表現の選択→同じ内容でも表現方法を選択できること
- ワーキングメモリ(短期記憶)→意識には少なくとも短い時間、情報を脳にとっておかなきゃいけない短期記憶が働いている。
- 可塑性(過去の記憶)→過去の記憶で意識の働きが左右される
自由意志と脳の指令
- 意識を測定するために、人を椅子に座らせて、ボタンを与えて、「好きなときにボタンを押してください」という実験をする。
- 普通に考えると、まずボタンを押そうという意識が表れて、それから手が動いてボタンを押すと予想できるよね。
- ところが答えは、先に「運動前野」という運動をプログラムするところが動き始めて、それからなんと1秒ほども経ってから「動かそう」という意識が表れたんだ。
→つまり「動かそう」と思った瞬間には、もうとっくに動く準備を脳は始めていた。無意識が先だった。体を自分の意識でコントロールしているつもりになっているだけで、実際には違うんだから。つまり、自由意志というのはじつのところ潜在意識の奴隷に過ぎないんだ。
意志で動かしているつもりが、無意識の行動の結果を意志で後追いで確認しているようだ。
感情についても同じ。恐いという感情を持ってから、恐いと思う対象を回避しているつもりですが、恐怖を司る扁桃体の動きは、
この二つの動きは別々に発生するそうです。恐怖を感じて危険を回避しているのでなく、危険を回避した状況を、恐怖の感情を得て確認しているだけなのです。恐怖の感情は、扁桃体が活動したことの副産物のようなものらしい。
日々の自分の行動を自分の意志で制御しているような気でいたが、そうでもないらしい。
脳関係のエントリー
http://d.hatena.ne.jp/benton/20090224
http://d.hatena.ne.jp/benton/20090220
http://d.hatena.ne.jp/benton/20090124
進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)
- 作者: 池谷裕二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/19
- メディア: 新書
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