身体を通して時代を読む

武術研究家の甲野善紀さんと内田樹さんの対談。武術の考え方を通して、教育をはじめとする現代の課題をとらえなおします。以下、抜書き。

「これこれを教えてください」と言ってくる人って、学ぶ前の自分と学びのプロセスが終わったあとの自分が同一人物だと思っているんです。学ぶ前と後で自分自身が主観的には少しも変化しないと思っている。知識や技術は付加価値として「同じ自分」に加算されるものとして考えている。でも、それは「学び」ではないです。それは商品を買っているのと同じですから。消費者は商品を買う前と買った後で別人にはなりません。コンビニで買い物をする前とした後で別人になるはずがない。でも、本当の意味での学びのプロセスでは、学ぶ前と後では別人になっているのが当然なんです。

スポーツでも武道でも、身体の動きを学んで、できるようになるというのは、確かに自分が別の人に変わっていくことです。教えてもらってはいそうですかと、できるようになるもんではありません。

身体を通して時代を読む (木星叢書)

身体を通して時代を読む (木星叢書)