日本破綻を防ぐ2つのプラン

日本の財政破綻を防ぐためのプランがふたつ提示されます。


プランAは、社会保障の事前積み立て制を導入したり、世代間公平委員会を設置して、世代間の負担の不公平を解消しながら、消費税を20%程度にあげて財政再建を図っていく案。


プランBは、官民ファンドを立ち上げて円資金を調達して海外投資を促進して、対外資産を公的に蓄積していくという案。来るべき財政の破綻→国債暴落→円安のときに巨額の為替差益が見込まれるのでこれで、財政破綻の程度を軽くできるというもの。


プランAの世代間公平委員会は、経済や財政の専門家を集めて将来の世代の負担も考慮して予算編成すると言うけれど、専門家のチームを立ち上げてそこに任せれば全てが解決するというのは楽観的すぎる。それが出来ないから今の状態になっているわけで、何十年も先の世代のために、事前に積み立てるというのが本当にできるのか疑問。


プランBは、国債が暴落することを前提に、為替差益を国がひとり占めにしようとしている。円高が進んだら差損はどう処理するのか。


160ページの民間のバランスシートに穴があいた状態が金融危機であるととらえ、その処理段階を順を追って説明するところは、大変わかりやすい。

(1)危機の発生前 資産バブル発生
(2)危機発生   資産バブルの崩壊 資産価値が急減し金融システムのバランスシートに穴があく
(3)民間のバランスシート処理 公的資金注入や財政出動により民間のバランスシートの穴埋め
(4)政府の財政問題発生 公的資金注入や財政政策の結果、政府の財政は大幅に悪化→民間のバランスシートの穴が政府に移転
(5)財政再建 増税orインフレーションのかたちで国民から政府へ所得移転が行われ政府の巨大債務を穴埋め


日本は(5)の段階。私は増税でお役所が関与する余地を増やすよりも、インフレで国債保有者から広く富を移転するのがいいと思ってます。


気になったのは、90ページの「図24世代間不均衡と経済成長率の関係」についての著者の言及。世代間格差と経済成長率に負の相関があるグラフを提示して。

つまり、世代間格差が拡大するほど、経済成長率が低下していく傾向があるのだ。これは、社会保障の暗黙の債務を含む公的債務が増加し、世代間格差が拡大していくと、若い世代の消費や貯蓄の低下などを通じて、民間の経済活動を阻害し、将来の経済成長を低下させてしまうからである。逆に言うと、これは世代間格差を改善すれば経済成長が高まる可能性を意味する。

どっちが原因で結果なのか。高齢化が急速に進み経済成長が低下したから、世代間格差が広がった。経済成長率を高めれば、世代間格差は改善するというようにも解釈できそうな気がする。

日本破綻を防ぐ2つのプラン (日経プレミアシリーズ)

日本破綻を防ぐ2つのプラン (日経プレミアシリーズ)