ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣

減量、勉強、運動。続けてやろうと決心してもすぐに挫けてしまう。この本は決心をゆるぎないものとするためにどうすればいいのか教えてくれます。特にどういうふうにコミットメントとインセンティブ(鞭と飴)の制度を設計すべきかを詳細に解説します。へたな制度だと効果が十分にでないだけでなく、逆にヤル気を亡くしてしまう場合もあります。


人間の意思決定の原理を考えて制度を作るのが大事だといいます。例えば1年後の1万円、1年と1日後の1万5千円。どちらを選ぶかと聞くと、ほとんどの人は1年と1日後の1万5千円を選ぎます。ところが、今日の1万円と明日の1万5千円。どちらを選ぶかと聞くと、今日の1万円を選ぶ人が増えるそうです。直近のことには我慢ができなくなる、目の前のものを高く評価してしまう、このような傾向を双曲割引と言います。わかっちゃいるけど、ラーメン大盛り食べてしまいます。


2万円を見せておいて、確率50%で1万円しか渡さないゲームと、1万円見せておいて、確率50%で2万円渡すゲームがあると、どちらも期待値は同じなのですが、多くのひとは後者を好むそうです。これは損失忌避といって利得よりも損失を大きく評価してしまう傾向です。同じ金額なら、自分へのご褒美よりも、罰金のほうが効果的です。


こんな解説だけでも面白いのですが、著者が、コミットメントを売る店舗をネット上に立ち上げたというのは驚きです。減量したい人はその店舗にアクセスして、目標体重と目標期間を入力。コミットメントに失敗した場合にはどうするかを設定できます。自分が賛同したいと思わない団体にお金を寄付すると設定することもできます。この場合、体重の報告がなかったり、目標体重を達成できなかったら、クレジットカードからお金が引き落とされて、団体に寄付される仕組みになっています。
stickk:http://www.stickk.com/


夏までにやせたい人におすすめ。

ヤル気の科学―行動経済学が教える成功の秘訣

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