量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突
学校で原子モデルを勉強するとき、太陽の周りを地球が周るように、原子核を中心に電子が周回している絵を見せられる。でも、このイメージはどうも正確でないらしい。
量子力学では、電子がどこに存在するかは確率でしかわからない。原子核の周りにもやもやとして電子が存在する確率の雲、確率の波があるようなイメージらしい。測定して初めて電子が現れる。測定される対象と、測定を行う装置とが一つの現象を作り上げている。測定するまでは、電子の存在の確率がわかるだけ。これが、ボーアの立場。(=量子力学のコペンハーゲン解釈)
一方、アインシュタインは量子力学が様々な実験結果をうまく説明できることは認めながらも、電子も光子も測定するまでは実在しないというのはおかしい、コペンハーゲン解釈は不完全だという。
アインシュタインはそれとは別のアプローチを選んだ。彼は、観測者とは独立した、因果律に従う世界が確かに実在するという揺るがぬ信念の上に立って量子力学を評価した。その結果として、彼はコペンハーゲン解釈を受け入れることができなかった。「われわれが科学と呼ぶもののの唯一の目的は、存在するものの性質を明らかにすることである。」
この本は、20世紀初頭の量子力学の勃興期を丹念に辿っていく。プランク、アインシュタイン、ボーア、ハイゼンベルク、シュレディンガー、パウリ、ディラックをはじめとする研究者の生い立ち、師弟関係、交友関係を明らかにしつつ、それぞれの功績を説明する。そして、アインシュタインとボーアの第5回と第6回のソルヴェイ会議での量子力学の解釈をめぐる、息が詰まるようなやりとりに繋がっていく。
物理は勉強したことないけれど、量子力学が何を議論しているのか知りたい人に。
- 作者: マンジットクマール,Manjit Kumar,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03
- メディア: 単行本
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