ロボット(R.U.R)

ロボットという言葉はこの戯曲から生まれて世の中に広まったというのは、どこかで聞いて知っていたが、今回初めてちゃんと読んだ。

 

私が、全く勘違いをしていたのは、この作品に登場するロボットは「機械」ではなくて、細胞を配合して作った生身の生き物だということ。人間の労働しなくていいようにするために、人間と同じ形に作った生物がロボットなのだ。人間と見た目は同じだけど、自ら繁殖しない。工場でどんどん生産して世界中に送られる。

 

ロボットのおかげで、働く必要がなくなると不思議なことに人は子供を作ろうとしなくなる。そしてある時、突然ロボットが反乱をおこし、世界中の人類を抹殺し始める。

 

1920年に作品が世に出てから、もうすぐ100年。人工知能はすでに、チェスや将棋で人間を超える能力を持ち始めているし、遺伝子工学再生医療を駆使すれば、この作品に出て来るような、人間のコピーを作ることも不可能ではない。簡単な仕事はどんどん機械に任せられるようになって、今日の食料を確保するためにあくせく働かなくてもよくなったら、出生率は低下する。

 

ロボットに任せられることは、どんどん任せてしまって、人間は人間だけしかできないことをやるべきなのか。でも人間がやるべきことってなんだろう。らっきょうの皮を剥いていったら、実は中心には何もなかったということがあるんだろうか。

 

ロボット (岩波文庫)

ロボット (岩波文庫)