マネー・ボール 完全版

メジャーリーグオークランドアスレチックスのゼネラルマネージャーが、どうやって、乏しいお金でプレーオフに出場できるような強いチームを作ったかというお話。

 

まず、野球というのは、できるだけアウトを取られずに攻撃し続けることを目指すゲームだと考える。アウトを取られなければ永遠に攻撃し続けられる。アウトを取られないかを競うゲームなので、送りバントはアウトカウントの無駄遣いだし、盗塁もリスクが高い。どちらもアスレチックスでは禁止だ。

 

打者に求められるのは、とにかく出塁率。次に長打力。過去の膨大なデータから、選手全員の出塁率長打率をもとにシーズン中のチームの得点を予測する数式作り上げる。これを使って、チームの成績を予想するとともに、トレードでどんな選手を獲るか検討するのだ。

 

何しろお金がないので人気のあるスター選手を獲得できない。ピークを過ぎたけれどしぶとく四球を選んで出塁できるかつてのスター選手や、出塁率は高いけれど、怪我や太り過ぎなど、どこかに傷のあるマイナーリーグの選手を安く獲得する。ドラフトでは高校生のスター選手は成功する確率が明らかに低いので見向きもしない。大学リーグの成績を見て出塁率の高い選手を選ぶ。

 

投手の成績を評価するときに、勝利投手、セーブポイントておかしいと思ったことないですか。本人の実力指標というよりも、チームの状況次第でどうにでもなる数字じゃないかと。アスレチックスでは、投手の実力そのものをはかるときには、与える四死球の少なさ、たくさん三振がとれるか、ホームランを打たれにくいか、を重視する。

 

データを解析し、野球界の認識の歪みをついて、いい選手を安く獲得し、それほどでもない選手を高く放出する。トレーダーが金融商品を扱うように選手を売買する。

 

書いてある内容自体が面白い上に、語り方もうまい。読ませる。 それほど野球に興味ない人にもオススメです。

 

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)