ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語

カンブリア紀の生命の姿を保存するバージェス頁岩についてのお話。
生物は、環境へ適応するために、少しずつ多様化しながら進化してきたというような、生物の教科書で見た進化の見方が、ひっくり返りました。


以下内容のメモ

  • 教科書にのっていた、時代が下るにつれ、生物の種類が増え、人類が一番上に位置づけられている系統図は、生命の進化は、人類が発生するための必然的なものであるという考えを、無意識に表明しているものである。
  • そのような考えでは、古い時代ほど、原始的で単純な生命が存在するはずだが、カンブリア紀の化石を含むパージェス頁岩には、現存する生命にはないような奇妙奇天烈で、複雑な生物の化石が見られる。
  • カンブリア紀に、およそ考えられるあらゆる生物のデザインが試され、その中の少数の生き残りが現在につながっている。
  • どの種が生き残るかは、カンブリア紀における繁栄の度合いとは関係ない。偶然としか考えられない。
  • つまり、生物の進化を大きく進めてきたのは、爆発的な多様化と、その後の悲運多数死との繰り返しであり、偶然が大きく関与している。
  • 偶然が左右しているとなると、地球の歴史をもう一度巻き戻して再生しても、人類が存在しない地球はいくらでもありえることで、逆に、人類がいて、意識活動をしていることが奇跡のようなもの。小惑星の軌道が少しズレて地球に衝突しなかったら、恐竜が支配する世界は今も続いていた可能性が高い。哺乳類は今もネズミにとどまっていた。


偶然といわれると非常に心細い気持ちになりますが、偶然だからこそ、いとおしい気持ちになります。

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)