阿含経典 2
阿含経典の2巻目、この巻では「六処」と呼ばれる、人間の6つの感覚器官、目、耳、鼻、舌、皮膚、心と、それぞれの感覚器官から入ってくる、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、意識をいかに制御するかについてが述べられる。後半は「偈」という詩の形式で語られるブッダの言葉と、その解説がセットになったお経が続く。偈はブッダが語った言葉に最も近い、古い形式のお経らしい。その中で、一番心に残ったのは、
粗悪なることばを語りて
愚かなる者は勝てりと思う
されどまことの勝利は
堪忍を知る人のものなり
怒れるものに怒り返すは
さらに悪しきことと知るがよい
怒れるものに怒り返さずして
人は二つの勝利をうるなり
他の人の怒れるを知りて
正念におのれを静むる人は
自己と他の人の双方の
利益を行ずるものなり
彼こそは、自己と他の人の
双方をなおす医師である
ただ法を知らざるもののみが
これを愚者と思うなり
貪ること、愚かであることと並んで怒ることが苦の根源であると説いた、ブッダが弟子たちに説いた息遣いが伝わってくるような語り口だ。
阿含経典〈2〉人間の感官(六処)に関する経典群・実践の方法(道)に関する経典群・詩(偈)のある経典群 (ちくま学芸文庫)
- 作者: 増谷文雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/09
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