ゾルゲの見た日本

 ゾルゲがドイツの新聞記者として発表した日本に関する記事とロシアのスパイとして本国に送った通信文が収録されている。

 

「日本の軍部」という記事の冒頭に

この重大な情勢下で日本には政治の指導者がいない。すでに多年来、政府は内蔵する力も決意も持たない、軍部と官僚と財界と政党の諸勢力のまぜものに過ぎないのである。

思い当たる節が。

 

「日本の膨張」では、古代、中世、近世を通じて日本の領土拡張は朝鮮半島とその背後に控える中国を目指していることを示す。そして、あまりにも人口が多く文化的にも同程度の中国を制圧できたとしても植民地経営はできないと言う。

中国はあまりにも人口が多くまた文化的に日本と同程度なので、日本は大陸に植民帝国を作ることはできない。日本の膨張は大陸の形式的に「独立した地域」を軍事、経済、政治の各方面に渡って支配することを目的としている。日本は侵略者であるが決して植民者ではないのである。

 

ジブリの「風立ちぬ」では、避暑地のシーンでゾドイツ人が登場するのですが、この人がゾルゲをモデルにしているように思えてなりません。彼の「もうすぐ日本は破裂する。」と言うセリフにあんまりそんな言い方しないやろと違和感を感じていました。ゾルゲが言う「日本の膨張」に対する「破裂」であれば、なるほどと納得できます。

 

ゾルゲの見た日本【新装版】

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