チキンヌードルスープ

アメリカは食べる」の中で、東理夫がアメリカの三大スープとして、クラムチャウダー、ミネストローネ、チキンヌードルスープを紹介していた。クラムチャウダーはキャンベルのスープ缶でよく食べていたので昔から馴染みがあった。同量の牛乳で溶いて食べると缶には書いてあるがそれでも味が濃いので、2倍の牛乳を加えるのが好みだった。ミネストローネは冷蔵庫に残った野菜を使い切るために、細かく切ってトマト缶と一緒に煮て何度も作っていた。ただ、チキンヌードルスープに関しては、何回かこれもキャンベールの缶詰で食べたことがあったが、ぼやんとした味で、ぶよぶよでブツブツに切れたスパゲティが入ったスープという印象しかなく、アメリカ人は何であんなもの好きなんだろうと思っていた。
 
チキンヌードルスープに対するそんな印象が変わったのは、車でアメリカを旅行するようになってからだ。サンノゼからネバダ州のリノへ2泊3日でスキーに行ったここがあった。帰り道に大雪になりハイウエイにもどんどん雪が積もっていく。チェーンは用意していたものの自分で装着したことがなくどうしようかと思っていたら、どんな人がやっているのかわからないが、峠の手前の退避スペースで20ドル払うと装着してくれるサービスをやっていた。峠を越えて雪がなくなってくると今度は10ドルでチェーンを外してくれた。なんとも合理的な仕組みだと感心したもんだ。
 
慣れない雪中のドライブ、更にサクラメントを過ぎても雨で視界が悪く疲れ果てて、ようやくストックトンにたどり着いたところで、ガソリンを入れがてら小さなお店に立ち寄った。アメリカのハイウエイには所々、ガソリンスタンドを兼ねたよろず屋のようなお店がある。お腹が減ったので、サンドイッチとバナナを買った。そこに、自家製のチキンヌードルスープを大鍋で売っていたので、発泡スチロールのカップに注いでレジでお金を払う。
 
車に戻ってスープを飲むと、寒かったからなのか疲れていたからなのか、体にじわっとしみ入るようでうまかった。ぼやんとした味が体に優しく感じる。ふにゃふにゃの麺は消化に良さそうでありがたい。
 
それ以来時々食べたくなって、缶詰を買ったり自分でも作っている。玉ねぎ、人参、セロリなどの香味野菜を細かく切って蒸し炒めにして、鶏肉を加えて煮込む。適当な時に適当なパスタを入れて柔らかくなったら出来上がり。あまり味付けしない。塩コショウで整える程度で薄めがいい。
 
アメリカでは風邪をひいた時にお母さんが作ってくれる代表的な料理ということになっているそうだ。