死に山:世界一不気味な遭難事故<ディアトロフ峠事件>の真相

真冬のウラル山脈北部に登山に出かけた、大学生9人のパーティーが消息を絶つ。捜索隊が見つけたのは、内側から破られたテント。テントの中には綺麗に整頓されたままの装備や靴。9人はテントから遠く離れた場所で発見された。全員が靴も履かず、防寒用の上着も着ていない、ほぼ下着だけの学生もいた。服の一部が焼け焦げた遺体。頭部や足を骨折した遺体。一人の女性の遺体は舌がなくなっていた。

 

9人は経験豊富な学生たち。彼らに何が起こったのか。この1950年代のソ連で起こった遭難事件の真相解明に、アメリカ人のテレビプロデューサーが挑んだお話。

 

遭難した学生たち、捜索隊、著者。この3者の視点を切り替えながら、テレビ番組を見ているかのように物語が進んでいく。

 

最後に著者の考えた遭難に至った経緯が明らかになる。結論は「あ、そうなの。」と思うようなこと。意外とあっけない。この本の面白さは、スターリン亡き後のフルシチョフ政権下での雪解け、自由な空気など、当時のソ連社会の雰囲気にどっぷりと浸れること。また、未だよくわからない現代のロシアに単身乗り込んで当時のことを知っている人たちに何度も会って、少しずつ親しくなって一緒に謎の解明に協力してもらう過程も面白い。

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相