ミラーニューロンの発見
自分がリンゴをつかむ時に発火する神経が、他人がリンゴをつかむ動作をするのを見るときにも発火する。リンゴという言葉を聴いただけでも発火する。こんな脳細胞をミラーニューロンと言う。他人の動作を自分の頭の中で真似する、シミュレーションする脳細胞だ。このミラーニューロンが、他人の気持ちを理解するこころの働きや、意識や言語の形成に大きな役割を果たしているというのが、この本の言いたいこと。
ミラーニューロンによって無意識のうちに、他人の動作や表情を真似る=シミュレーションすることで、他人の気持ちがわかる。自分の動作をミラーニューロンがシミュレーションすることが自己意識の萌芽ではないか。他人の動作と自分の動作をつなぐミラーニューロンが言語の創成につながったのではないか。こんな話が章を追って展開していきます。
ただし、ミラーニューロンの働きが全くの白紙の状態で生じるわけでなく、それまでの自分の行動や見てきたこと次第で、ミラーニューロンの働き方が変わってくるそうだ。「意識とは何だろうか」でいう脳の「来歴」によって、ミラーニューロンの反応が変わる。
意識の話、ネットワークによる人とのつながりのお話、行動経済学が明らかにする人間の行動の不合理性、ニューロマーケティング、ミラーニューロン。こんな話が全部つながってくるように思いました。
ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)
- 作者: マルコイアコボーニ,Marco Iacoboni,塩原通緒
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/05
- メディア: 単行本
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