食べたくなる本

料理本について語る本。友人が面白いと紹介してくれたので早速読んでみた。
 
著者は1976年生まれ。2000年以降の本が主に語られている。私が図書館で料理本をかたっぱしから借りて読んでいたのが学生時代の11986年から1990年くらいまでなので冷水希三子さんや高山なおみさんにはあまり馴染みがなかった。しかし、それ以外の料理家の本は少なくとも一冊は読んでいるので大変面白かった。この手があったか。
 
著者は丸元淑生について本書で何度も言及している。私も丸元の「システム自炊法」を買って一人暮らしのアパートで真似事をしていた。築地の市場へ行ってトキ鮭を丸ごと一匹買ってこいだの、2万円以上する鍋を買えだの、とても学生がマネできない現実離れした内容も多々あったけれど、その自信に満ちた語り口に惹かれたのだ。豆のサラダはよく作った。金時豆を茹でて玉ネギのみじん切りと一ドレッシングで和えるだけというシンプルな料理。当時は甘い煮豆が大嫌いだったのもあって何度も作った。
 
著者も「健康に良くて死ぬほど美味しいもの」を求める丸元の過激なやり方に、半分引きながらも付き合っている。朝どれの魚を扱う魚屋を見つけて自分でシメサバを作ってみたり、4人分でアサリを2キロ使う、スパゲティを作ってみたり。
 
細川亜衣も気になる料理家。「食記帳」は枕元に置いて寝る前に読んでいる。カリフラワーを蒸し器でグダグダになるまで茹でて軽くつぶして塩とオリーブオイルをかけて食べるのは是非一度試したい。
 
私が最近読んだ料理本で一番衝撃を受けたのは、土井善晴の「一汁一菜」。普段食べる料理のハードルを思いっきり下げてくれた。気の利いた料理を紹介するはずの料理研究家が家庭の食事はご飯と味噌汁があればそれで十分と言ったのだから。
 
自分で料理すると、次から次へのいろんなものを作って食べ過ぎてしまうので、料理も料理本も避けていたのだけれど、また料理したくなった。連休中だし。

 

食べたくなる本

食べたくなる本