脳と日本人
脳科学者の茂木健一郎と、松岡正剛の対談です。意識がどうやって生じているのか「クオリア」という考え方をベースに挑む茂木さんと、「編集」を切り口に縦横無尽に語る松岡さん。科学の普遍性に疑問をながかけながらも、科学者として普遍性にこだわる茂木さんと、科学者もそろそろ普遍性を断念してもいいんじゃない、大事なのは編集方法、世界観だよ。と言う松岡さんの少し緊張するやりとりがおもしろい。
お互いの了解事項から話題があちこちに飛んでいくので、読むほうは漫然としていると中に入っていけません。2人の会話のながれに身を任せて断片を摘んでいくつもりで読むほうがいいかもしれません。以下抜書き。
第5章 日本という方法 から
頭を充満させてパソコンに向かっている。あれからは何も出ないね。一度立ち上がって、また戻ってみるといい。あれではアタマのなかに隙間が生まれません。(中略)
うまく設定された「空」があるということは、脳の神経回路のダイナミックスからいうと、何かを生成するための誘い水となり得る。
アノマリーがあることは、認めたほうがいい。消毒しないほうがいい。その上で踏ん張ることです。
第6章 毒と闇 から
たとえば、こうやって話すと楽になりますよね。楽になるというのは、自分にとってやっかいなものを排出しているからかもしれない。普通、コミュニケーションというのは気楽なものだと思われているけれども、実は毒出しかもしれない。
- 作者: 松岡正剛,茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/12
- メディア: 単行本
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