失われた時を求めて3 花咲く乙女たちのかげにⅠ

失われた時を求めて3  花咲く乙女たちのかげにⅠ
2巻はスワンとオデットの恋の顛末のお話、最初はスワンが優位な立場で始まった恋が、付き合いが続いていくうちに立場が逆転し、スワンがオデットに翻弄されるようになる。スワンはこのままでは破滅してしまうという、ギリギリのところまで追い込まれる。しかし、最後にふと気付く。「あ、俺もともとオデットのこと、そんな好きなわけでもなかったわ。」と。


3巻はこの物語の語り手である「私」が、どういう経緯があったのか結婚したスワンとオデットの娘、ジルベルトと恋に落ちるお話。私もジルベルトも年齢は14、5。どうしても自分の恥ずかしい経験を思い出し、それと照らし合わせながら読むことになるので、胸が詰まる。相変わらず描写の解像度が高く、「私」の気持ちに引っ張られてドキドキする。13巻までこの調子で続くのだとすると最後まで読むのはきつい。