貧困の終焉 2025年までに世界を変える

現在、全人類のうち10億人が飢餓・疫病・地理的な孤立のために「貧困の罠」から抜け出せず、1日1ドル未満で生活することを強いられている。そのうち、生きる闘いに破れ、死に追いやられる人は毎日2万人もいる。しかし、人的資源の確保とインフラの整備さえ行われれば、自然と促される経済活動によって貧困を過去のものとすることができるのだ。そして、そのために必要な援助額は先進各国のGNPのたかが1パーセントに満たない。私たちは、人類史上初めて「貧困問題を解決できる可能性を手にした世代」なのである。

「世界から貧困をなくす」という、わかりやすい、ストレートなゴールと、それを実現するために何をすべきかが書いてあります。「えっ。そんなこと出来るの?」と思ったのですが、読んでみると納得です。著者は、ボリビアや、ポーランドの経済顧問をやっていた経済学者なので、話が具体的でわかりやすいです。ボリビアハイパーインフレを止める話を読んで、「経済学ってこんなふう役に立つのか。」と思いました。


「何のために経済学をするか?」と突き詰めて考えてみると、「世の中から貧乏をなくすため。」か、「自分が金持ちになるため。」のどちらかだと思います。普段は、「来年の日本のGNPの伸びが1.2%になりそうだ。」とか、「金利がちょっと上がりそう。」とか、その手前の、極端に言えばどうでもいいことを、あーでもない、こーでもないと議論することが多いと思います。でも、たまには、ちょっと気恥ずかしいところもありますが、原点を振り返ってみるのが大事だと思います。


普段の仕事では、

今日の状況は、ソ連の労働者のあいだに広まった古いジョークを思わせる。「われわれは働くふりをし、連中は給料を払うふりをする!」現在、貧しい国の多くは改革するふりをし、先進国のほうも貧しい国を援助するふりだけをしている。

と同じような状況が多くて、自分が何やっているのかわからなくなることもあるので、時々は、原点を振り返ってみようと思いました。


貧困の終焉―2025年までに世界を変える

貧困の終焉―2025年までに世界を変える