もうひとつの日本への旅 モノとワザの原点を探る

「もうひとつの日本」とは、弥生時代以降、現在までつづく稲作を中心とした文化が拡がる前から日本にあった、狩猟や採集を中心とした縄文文化を指します。もうひとつの日本の名残は、日本列島の辺境である、北海道や琉球、岩手や青森などの東北北部に残っています。背負子の形、船の作り方などに、アイヌ琉球に共通する特徴があるそうです。

以下印象に残った部分の抜書き

文化の多様性を守るにあたっての基本原則
第一、グローバル(地球規模)対ローカル(地方的)という対立を、ユニバーサル(普遍)対パティキュラー(特殊)という対立と混同しない。
第二、文化遺産文化財とみなされるものも、過去のある地方、ある時代の状況のなかで創出され、時代とともに変化してきたものであるということを忘れない。

日本の「二重の意味での人間依存性」とは

第一は、複雑な道具立てや装置に頼らず、人間の匠さによって、道具なしか、簡単な道具を多様に使って作業することだ。(中略)二本の棒切れに過ぎない箸を、使う人の巧みさで、多機能に使い分けるとか、フランスのものに比べて道具としてはるかに簡単で、着脱自在な天秤棒とかは、その例だ。第二は、よりよい結果を得るために、人力を惜しみなく投入することだ。朝は霜を踏んで野良に行き、夕べは星をいただいて帰るといわれた日本農民の精励ぶり、残業をものともしない現代の産業戦士の勤勉にもその一端が窺えるだろう。


西洋の「二重の意味での人間非依存性」とは

第一の人間非依存性は、個人の巧みさに頼らず、誰がやっても同じようなよい結果が得られるように道具ないし装置を工夫すること、第二の人間非依存性は、できるだけ人力を省き、畜力や風水力など人間以外のエネルギーを利用して、より大きな結果を得ることだ。