美大祭

今日は忙しかった。

 

息子からお誘いがあり、朝8時半から卯辰山の運動広場で2ヶ月ぶりのキャッチボール。1時間くらい真剣にボールを投げると結構な運動量になる。最初はお互い投げ方が安定せずあさっての方向に行ってばかりだったけれど、後半はそれなりにキャッチボールらしくなった。

 

10時からはランニング。金沢マラソンのダメージからようやく回復したので東山から若松橋まで往復約6キロ、32分走る。少し太ももに痛みを感じたけれど、マラソンを走ったおかげか体から余計な力が抜けて楽に走れた。週4日くらいのペースでこの冬も走り続けようと思う。

 

ランニングを終えてシャワーを浴びてから、娘が通う中学校の文化祭をひやかしに行く。娘は生徒会の役員として文化祭の準備に頑張っていたこともあり、雰囲気だけでも確認したかったのだ。ちょうど3年生の劇をやっていた。途中から見たので話の筋はよくわからなかったけれど、一生懸命演じている姿に、不意に胸が熱くなる。なんかいい。教室に展示してあった娘の作文を見る。

 

中学校近くのバス停からバスで香林坊まで行って昼ごはんにする。せせらぎ通りの「くらつき」で牡蠣フライ定食を食べる。安定のおいしさ。牡蠣フライはもちろん、付け合わせのレタスと玉ねぎのサラダ、ごはんに味噌汁、漬物もちゃんとしていておいしい。

 

ご飯を食べている途中に、美大祭をやっているんじゃないかと思い出し、iPadで確認すると今日から5日までとなっている。今日の午後はデザイナーの奥山清行さんの講演がある。面白そうなので聞きに行くことにした。21世紀美術館の敷地を抜けて、県立図書館裏の崖の小道を県立美術館に登る。本多の森ホールから石引を経て美大まで歩く。美大の模擬店は店の奥に必ず小上がりとコタツがある。多分学生さんが夜通しコタツで飲んでいるんだろう。楽しそうだ。

 

奥山さんはピニンファリーナに所属している時に、フェラーリのデザインを手がけた方。独立して日本に戻ってからは、ヤンマーのトラクターやJ秋田新幹線北陸新幹線JR東日本の豪華列車の四季島をデザインしている。普段は自分がやった仕事の話はしないそうだが、美大客員教授でもあり学生さんの参考になればと、それらのプロジェクトについてお話してくれた。

 

フェラーリに10年に1度生産する特別モデル、エンツォ・フェラーリのデザインをプレゼンした時の話が面白かった。ピニンファリーナでは、2年かけてこの特別な車をデザインしていたのだが、特別なモデルだけに保守的になりすぎたのか、あまりいいデザインにならなかったそうだ。奥山さんもそう感じていたが、会社全体で動いている話なので誰もやり直そうと言い出せなくて、とうとうフェラーリの社長へのプレゼンの日を迎えてしまう。案の定、社長は気に入らなかったらしく、早々に帰ろうとする。奥山さんの上司は、フェラーリの社長にサンドイッチの昼飯を進めてなんとか引き止めようとする。その間に奥山さんに何か別の案を持ってこいと目で合図する。奥山さんが密かに描いて机の引き出しの奥に隠してあった、スケッチを取り出して15分で仕上げてフェラーリの社長に見せたそうだ。そうしたら、「なんだ、いいのあるじゃん。」となり採用決定。出来たのがこの車

http://auto.ferrari.com/ja_JP/sports-cars-models/past-models/enzo-ferrari/

 

15分で人生変わるよ。15分でチャンスを掴むこともあれば、永遠に逃してしまうこともある。常に準備しておかないと。というお話。デザイナーは、絵を描くだけでない。使う人が何を求めているかを考え抜いて、それを実現するためにお金を工面しあり人を動かしたり、なんでもする。うじゃじゃけた気持ちがシャキッと引き締まるようなお話だった。

 

4時半に美大を出て、再び歩いて香林坊から武蔵ヶ辻を通って帰宅。