こんかこんかと輪島物語

14時20分金沢駅着のはくたかで東京から帰る。家で一休みした後、いい天気に誘われて妻と自転車で県立美術館へ出かける。現代美術展の日本画部門に出展している妻の知り合いの絵を見るためだ。先週咲き始めた桜がこのところの寒さのおかげで今日もなんとか満開を保っている。街は桜見物と観光の車でどこも大渋滞。車を縫って自転車を走らせる。次どこに行こうかと妻と相談。私は石引パブリックで本を物色したい。妻は香林坊の銀行で現金を預け入れて、うつのみやで絵本と英語の本を探して、ついでに大和で晩御飯の買い出しをしたいという。お互い一歩も譲らず、別々に行動することにした。
 
石引パブリックで前から気になっていた「死に山」を買おうかと思ったらなかったので、「天然知能」を買う。自己意識ネタはやはり気になる。帰りに彦三のカガヤでお酒を物色。今日は風が冷たくて少し体が冷えたので、お燗に合う酒ということで、白藤酒造の輪島物語を購入した。
 
家に戻ったのが5時前。少し気が引けたけれど、いそいそと食器棚から徳利を取り出し薬缶で湯を沸かして燗をつける。この前大阪の義父が来た時に近江町市場の酒の大沢で見つけた「こんかこんか」が冷蔵庫にしまってあったのを思い出して、7切れほどを小皿に盛り付けて酢をかける。
 
「こんかこんか」は、金沢の池田商店で作っていた鯖の糠漬け(いわゆる「へしこ」)で、他のへしこに比べて塩辛さを抑えて甘みがあるのが特徴だった。お母さんと娘さんが二人でお店を切り盛りしていたのだが、お母さんが体調をくずされたようで、しばらく生産をやめていたらしい。その事業を東京から金沢に進出していたブランディングやデザインを手がけるAMD株式会社が承継したのだ。
そのあたりの経緯はこちら
 
こんかこんかを囓りながら少し熱めに燗をしたお酒をちびちびやる。時々、暮れゆく空を眺める。

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