美術の物語
古代エジプトから現代までの美術の歴史を丁寧に語る。建築、絵画、彫刻が網羅されている。しかも、本文に登場する作品の図版が全て掲載されているので、本文と図版を行ったり来たりしながら何度も確認できるので大変わかりやすい。
ふとした弾みで購入したもののあまりの分厚さにひるんで、3年間積ん読していたが、読み始めると面白くてぐいぐい引き込まれた。
絵というのは見たものをそのまま写しとろうとしてきたのかと思っていたが、実は見たと思っているもの、知っていることを描いているという話が目から鱗だった。。古代エジプトでは足は必ず横から見た一目でで足とわかる形で描かれる。手は指が5本あることがわかるように描く。子供がまずは正面からみた大きな顔を描くようなもの。自分が顔について知っていることを描くのだ。
ものの形に関してその限界を打ち破ったのが、ルネサンス時代に確立された圧縮法や遠近法で奥行きを感じさせる技術。光や色彩に関して見たままを写し取る技術を追求したのが印象派。
そこまで行き着いてしまうと画家は絵でなんでも見たままを描けることになる。その次に目指すのは、絵の構図の美しさであり、心情の表現であり、多面的なモノや人の姿を表現すること。印象派以後のフォービズムやキュビズムや抽象画への流れ、その必然性が非常によくわかる。
建築のロマネスク様式からゴシック様式、ルネサンス様式、バロック様式への流れとそれぞれの特徴がわかっただけでも読んだ甲斐があった。
西洋美術の歴史をざっくりと知りたいひとにおススメです。
- 作者: エルンスト・H.ゴンブリッチ,E.H. Gombrich
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