フレーミング 「自分の経済学」で幸福を切り取る

著者のタイラー・コーエンはアメリカの経済学者ということですが、内容はあまり経済学と関係ないです。


インターネットの普及によって、我々が日常生活で触れる情報量は飛躍的に増え、しかも断片化している。情報発信の敷居が低くなるにつれ情報が断片化していくのは当然だという。便箋に手紙をしたて郵送するよりも電子メールがの方が手軽に遅れる分、送る内容は気軽な、断片的なものになる。チャットやツイッターはさらに手軽に送れる分、文面は短くなり内容も日々のどうでもいいような内容になる。著者はそれが悪いことだと嘆いているのでなく、断片化された大量の情報に触れられることはいいことで、自分のための学習や娯楽をコントロールすることができる。我々はそれらの情報を日々整理しつづけ、自分好みの心地よい情報を集めて暮らすようになるという。

経済学者らは、われわれ人間を経済人(ホモ・エコノミクス)として研究してきたが、数十年前に、わたしもその一員である社会科学者らが、遊戯を楽しむ人間の性質を調査し、遊戯人(ホモ・ルーデンス)という言葉が生まれた。そして現在では、新しい種類の人間が、その頭の中で自分だけの経済を創造している。整理人(ホモ・オルド)の時代がやってきた。

そして、自閉症的な傾向を持つ人がこのような「脳内整理」の能力に特に優れているという。自閉症の認知面での強みは、

・強い関心をもつ分野において、知識を整理する能力が高い。
・強い関心をもつ分野において、小さな情報の断片を近くする能力が高い。

こうした強みにより、自閉症者は概して音感に優れており、物知りで、記憶力や、記号や暗号を使う作業に優れているという。
自閉症アスペルガー症候群の可能性があると指摘されている有名人の例として、下記の人たちが挙げられている。

チャールズ・ダーウィン、グレゴール・メンデルトーマス・エジソンニコラ・テスラアルバート・アインシュタインアイザック・ニュートンサミュエル・ジョンソンフィンセント・ファン・ゴッホトーマス・ジェファーソンバートランド・ラッセルジョナサン・スウィフトアラン・チューリングポール・ディラックグレン・グールドスティーブン・スピルバーグビル・ゲイツ


自閉症的な傾向を社会への不適応として切り捨てるのではなく、多様な認知方法の1つとして社会に取り込んでいくことを考えるべきだといいます。そのような社会の例として、日本のオタク文化とフィンランドが最後にあげてあります。

フレーミング「自分の経済学」で幸福を切りとる

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