円のゆくえを問いなおす ―実証的・歴史的にみた日本経済
この前の東京出張の帰りの電車で読んできた。中身がぎっしり詰まった新書、デフレや円高に興味ある人には読み応えあります。データや説明をしっかり押さえながら読んでいくと時間はかかりますが、しっかり応えてくれます。
著者はいわゆるリフレ派。日本がこの20年のデフレを脱却するためには、日銀が金融緩和を進めてマネーサプライを大幅に増やすべきだ。という立場。
本書では日本のデフレが円高の大きな要因になっているといいます。中長期で為替レートを左右するのは購買力平価。相対的に物価上昇率が高い通貨は安くなり、物価上昇率が低い通貨は高くなるということを、段階を追って丁寧に説明する部分はたいへんわかりやすかった。円高を修正するためには、他国に比べて物価上昇率が高くなるような、思い切った金融緩和策が必要というのが結論。リーマンショックの際には、アメリカやEUの中央銀行がバランスシートを大幅に拡大しマネーを供給したのに比較すると日銀の対応を消極的であり、このマネー供給量の差が円高につながっているといいます。
日本の2011年の名目GDPが、1991年と同じレベルだというのは、ちょっとびっくり。
円のゆくえを問いなおす―実証的・歴史的にみた日本経済 (ちくま新書)
- 作者: 片岡剛士
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/05
- メディア: 新書
- 購入: 76人 クリック: 1,625回
- この商品を含むブログを見る