グローバリゼーション 人類5万年のドラマ 上

約5万年前、生まれ故郷であるアフリカの大地から一歩を踏み出し世界へ散らばって以来、人類は継続的に居住範囲を拡げ、交易の範囲を拡げ、遠くの同胞とより強い関係を結ぶようになりつつ暮らしてきた。人類の歴史=グローバリゼーションの歴史であり、その流れは止まらないというのが著者の考え。この本では5万年に渡る歴史を、グローバリゼーションを担った、「交易商人、布教師、戦士、冒険家」などに焦点を絞り1,000年単位で大きな流れを辿っていく。


交易商人に関しては、ざっくりと捉えるとこうなる。はじめは徒歩もしくは砂漠を行くラクダの隊商。モンスーンにのっていく帆船により輸送量が飛躍的に増える。19世紀に蒸気船が使われると季節を気にせず航海できるようになる。1950年代にコンテナが発明されると、物流コストが飛躍的に下がりさらに交易が活発になる。さらに光ファイバーで全世界が繋がり電子商取引さらに密接に取引が行われるようになる。

高速ネット接続は、IT技術者を相手の拠点に派遣するというボディショッピングを不要とし、コンピュータ端末の前に坐ったままサービスを提供できるようになった。彼(インドのソフトウエア企業の経営者)はグローバリゼーションを「資本は最も安価に調達できるところから調達し、人材は最も優秀な能力が獲得できるところから獲得し、生産は最も製造コストが低いところで製造し、そして国境の制約のないマーケットで販売できる仕組み」であると表現した。


布教師については、仏教、キリスト教イスラム教世界宗教として広まっていく流れと、奴隷解放運動、人権を守るためのNGOの活動が一続きのものとして扱われる。


歴史を大きな流れとして整理しなおすことができる本です。

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ (上)

グローバリゼーション 人類5万年のドラマ (上)