おむすび
お弁当におむすびを持っていくようにしている。
朝に炊いたご飯を、大きめの茶碗一膳分おむすびにして、プラスチック製のおむすびケースに入れて持っていく。おむすびだけのこともあるし、朝食の味噌汁の残りを保温ポットに入れて持っていくこともある。胃の中に温かいものを入れると満足感が増す。
紫蘇の粉やシャケのふりかけを混ぜ込んでおむすびにすることもあるが、梅干しを入れた塩むすびに勝るものはない。この前はふと思いついて、焼いたスパムを中に入れて、カレー粉をまぶしたご飯でおむすびを作ってみた。いいアイディだと思ったが、それほどうまくなかった。
今使っているおむすびケースは、カバンの中で形が崩れることがないので気に入っているが、水分を逃してくれないのが残念だ。作りたてを入れると結露して湿っぽくなる。ラップでおむすびを握ってそのままに持っていくのもお米が湿っぽくなるので好きでない。カバンの中でおむすびの形を保ってく、湿気も吸収してくれるおむすびケースはないだろうか。
最近ようやく気がついたのだが、おむすびは固く握りすぎてはいけない。出来立てを食べるのならいいが、冷えるにつれてご飯がどんどん締まって、お昼には団子のようになってしまう。今はおむすびの形がかろうじて維持できる程度に、ふわっとにぎるようにしている。お昼にはちょうどいい硬さになる。
葬式の時にお手伝いに来てくれる人たちのために作る塩むすびが好きだった。梅干しも入っていないし海苔も巻かない、側面にゴマを少しつける塩味だけのおにぎり。たくさん作り置きするので、お米の表面がさらっと乾燥して口触りがいい。ちょっとだけつけたゴマの香りがアクセントになる。三角にすべきか、俵型にすべきかで、台所のおばさんたちが揉めていた。子供の頃はこのおにぎりが旨くて、たくさん食べ過ぎて胸が酸っぱくなった。
今はセレモニーホールでお通夜も葬式もするので、大量のおむすびを家で作ることもなくなったけれど、あのおむすびは旨かった。