シトロエン2CV
先週の日曜日、近所を散歩していた時に、2CVを見つけた。
2CVというのは、フランスの自動車メーカー、シトロエンが1948年に発売した小型車。農民向けの企画された車で、「こうもり傘に4つの車輪をつける。」をコンセプトに、設計にあたっては次の条件を満たすことを目指したそうだ。
- 50kgのジャガイモ又は樽を載せて走れること
- 60km/hで走行できること
- ガソリン3リッターで100km以上走れること
- 荒れた農道を走破できるだけでなく、カゴ一杯の生卵を載せて荒れた農道を走行しても、1つの卵も割ることなく走れるほど快適で乗り心地がよいこと
- 車両重量300kg以下
- もし必要とあれば、(自動車に詳しくない初心者の)主婦でも簡単に運転できること
- スタイルは重要ではない
「ルパン3世カリオストロの城」の冒頭でクラリスが運転していた車といえば、わかってくれる人もいるだろうか。
空冷の水平対向2気筒のエンジン搭載、キャンバストップで実用本位のボディは、デビュー当時「醜いアヒルの子」と呼ばれた。しかし、この不恰好なスタイルが逆にカッコよくて若い頃は自動車雑誌の中古車情報に2CVが出品されていると、買えないかなあと思いを馳せていたものだ。
今世紀に入る頃くらいまでは、街中でも時々走っているのを見かけたものだが、最近はめっきり見なくなった。見つけたとしても修理工場の片隅でホコリをかぶっているか、錆びだらけで動かなくなった状態のものくらいだ。
こんなに綺麗な状態の2CVは本当に久しぶりだったので、近所の人に気味わるがられるかと思いながらも、じっくりと眺めていた。電気自動車、自動運転、カーシェア、などクルマのあり方が今後大きく変わっていくことを思うと、趣味として所有し愛でるという20世紀的なクルマとの関係性はなくなっていくのだろう。
そう思うと、自分なら、最後の一台として何を手に入れようか、などと良からぬことを考え始めていた。