素材の味を食べる
既成概念に囚われず、自分の手と目で確かめながら料理方法を探っていく姿勢がいいです。えっと思うような料理方も、説明を読むとなるほどと納得させられます。目次から引用
だしをとらなくてもおいしい味噌汁は味わえる
→野菜などの具のうまみと、味噌で十分おいしいだしがでる。
かつおのたたきは冷やさずに焙りたてをいただく
→冷やしてしまうと、かつおの脂を味わえない。
しめさばは塩でなく、砂糖でしめる
→砂糖は塩と同じように水分を抽出するが、塩と違って分子量が大きいので身にしみ込んでいかないので、妙な味がつかない。
調味料は銘柄にこだわる必要はない
→調味料は素材の味を引き出すもの、調味料を食べるのではない。普通のもので十分。
紹介されている料理はどれも普通に手に入る食材を、少しでもおいしく食べるためにひと工夫したものばかりで、自分でも作ってみたくなります。そのなかでも塩トマトかけご飯は、今度の夏にためしてみたいレシピです。トマトを賽の目に切り塩をかけたものをご飯にかけるだけです。そういえば子供の頃、トマトに塩をかけて食べる時に皿の底に溜まった汁をご飯にかけて食べる親戚のおじさんがいました。
著者の野崎さんのご飯をおいしく食べたいという姿勢には、激しく共感します。卵かけご飯や、削り節かけご飯が登場します。
まず、生卵をざっくりと溶きほぐし、刻んだばかりの強い香りを放っているねぎを加えて混ぜます。このとき醤油をかけて卵と一緒に溶くと、醤油は沈んでしまいます。そこで考えました。あつあつごはんの上に沙希に醤油をたらして、そこへ溶いた卵をかけてみようと。こうすると醤油の風味と、卵の味わいがごはんとうまく組み合わさって、渾然一体となります。たったこれだけのことなのに、おいしさが変わってしまうから不思議です。ここが料理のおもしろさでもあります。食べるために五感をフルに働かせ、満足の行く結果が得られると素直に喜びを感じます。
あったかごはんに薬味、削りたての削り節をのせ、醤油を数滴たらしてどうぞ。薬味は青じぞ、みょうが、長ねぎ、貝割れ、生姜をずべて細くせん切りにし、水にされしてから使います。シャキシャキと歯ざわりがよく、何にでもあいます。
うまそ。
- 作者: 野崎洋光
- 出版社/メーカー: 祥伝社
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